エスプラス・ビジネスコンサルティング株式会社

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資源ベース理論(Resource Based View:RBV)

1.資源ベース理論とは

資源ベース理論(Resource Based View:RBV)とは、企業の競争優位の源泉を外部環境ではなく、企業内部に存在する経営資源に求める経営戦略論です。

1980年代から1990年代にかけて発展した理論であり、特に Birger Wernerfelt や Jay B. Barney らの研究によって体系化されました。

それまで主流であった産業組織論や5フォース理論では、企業の業績は業界構造や市場環境によって決定されると考えられていました。しかし実際には、同じ業界に属していても高収益企業と低収益企業が存在します。

例えば、自動車業界やアパレル業界においても、同じ市場環境で活動しているにもかかわらず企業ごとに業績が異なります。この差を説明するために登場したのが資源ベース理論です。

資源ベース理論では、

「企業の競争優位は独自の経営資源によって生み出される」

と考えます。

つまり、市場環境よりも企業内部の資源や能力こそが競争力の源泉であるという考え方です。

2.経営資源とは

資源ベース理論における経営資源とは、企業が保有するあらゆる有形・無形の資産を指します。

代表的な経営資源には次のようなものがあります。

(1)有形資源

企業が保有する目に見える資源です。

  • 土地
  • 建物
  • 工場
  • 機械設備
  • 資金
  • 商品在庫

などが該当します。

(2)無形資源

企業固有の知識やブランドなど、目に見えない資源です。

  • ブランド力
  • 特許
  • 技術ノウハウ
  • 顧客情報
  • 企業文化
  • 組織風土

などが含まれます。

(3)人的資源

従業員が持つ知識や技能です。

  • 技術力
  • 経験
  • 創造力
  • 問題解決能力
  • リーダーシップ

などが該当します。

現代では、特に無形資源や人的資源が競争優位の源泉として重要視されています。

3.資源ベース理論の基本的な考え方

資源ベース理論には二つの前提があります。

(1)資源異質性

企業が保有する資源は企業ごとに異なるという考え方です。

例えば、

  • 高度な技術を持つ企業
  • 強力なブランドを持つ企業
  • 優秀な人材を持つ企業

など、それぞれ異なる資源を保有しています。

企業間で資源が均一であれば競争優位は生まれません。

(2)資源移動不完全性

優れた資源は簡単には移転できないという考え方です。

例えば、

  • 長年培われた職人技術
  • 独自の企業文化
  • 顧客との信頼関係

などは他社が容易に購入したり模倣したりできません。

このような移転困難な資源こそが持続的競争優位の源泉になります。

4.VRIO分析

資源ベース理論を実務で活用する際の代表的なフレームワークがVRIO分析です。

提唱者は Jay B. Barney です。

VRIOとは次の4要素の頭文字を取ったものです。

V(Value:経済価値)

顧客価値を創出し、利益に貢献する資源であるかを評価します。

R(Rarity:希少性)

競合他社が保有していない希少な資源であるかを評価します。

I(Inimitability:模倣困難性)

競合他社が容易に模倣できない資源であるかを評価します。

O(Organization:組織)

その資源を十分に活用できる組織体制が整備されているかを評価します。

この4つを満たす資源が持続的競争優位を生み出すと考えられています。

5.コア・コンピタンスとの関係

資源ベース理論と密接に関連する概念としてコア・コンピタンスがあります。

コア・コンピタンスとは、企業独自の中核的能力のことです。

提唱者は C. K. Prahalad と Gary Hamel です。

コア・コンピタンスには以下の特徴があります。

  • 顧客価値を創出する
  • 他社が模倣しにくい
  • 複数事業へ応用できる

例えば、

Honda のエンジン技術や、Toyota Motor Corporation の生産方式などが代表例です。

コア・コンピタンスは資源ベース理論における競争優位の具体的な姿であると言えます。

6.資源ベース理論の限界

資源ベース理論は企業内部の強みに着目する優れた理論ですが、いくつかの限界も指摘されています。

第一に、環境変化への対応を十分に説明できない点です。

例えば、優れた技術を保有していても市場環境が変化すれば価値を失うことがあります。

フィルム技術を持つ企業がデジタル化によって競争力を失った事例はその代表例です。

第二に、将来の変化を予測する視点が弱い点です。

資源ベース理論は現在保有する資源に焦点を当てていますが、変化の激しい市場では現在の強みが将来の強みであり続ける保証はありません。

第三に、資源をどのように変革・再構築するのかについて十分な説明がありません。

この課題を補完するために登場したのがダイナミック・ケイパビリティ論です。

7.ダイナミック・ケイパビリティとの関係

資源ベース理論が「何を持っているか」を重視するのに対し、ダイナミック・ケイパビリティ論は「どのように変化するか」を重視します。

資源ベース理論では、

  • 技術
  • ブランド
  • 人材
  • ノウハウ

などの経営資源が競争優位の源泉となります。

一方でダイナミック・ケイパビリティ論では、

  • 変化を感知する能力(Sensing)
  • 機会を捉える能力(Seizing)
  • 組織を変革する能力(Transforming)

が競争優位の源泉になります。

つまり、

資源ベース理論は「静的な競争優位」を説明し、

ダイナミック・ケイパビリティ論は「動的な競争優位」を説明する理論であると言えます。

8.まとめ

資源ベース理論とは、企業の競争優位の源泉を企業内部の経営資源に求める経営戦略理論です。企業が保有する有形資源、無形資源、人的資源の中でも、価値があり、希少であり、模倣困難であり、それを活用できる組織体制を備えた資源が持続的競争優位を生み出すと考えます。この考え方はVRIO分析やコア・コンピタンス理論へと発展し、多くの企業戦略に活用されています。

しかし、環境変化が激しい現代では、資源を保有するだけでは十分ではありません。そのため、資源を継続的に再構築する能力に着目したダイナミック・ケイパビリティ論が発展しました。したがって、現代の経営戦略においては、資源ベース理論によって自社の強みを把握し、その強みを環境変化に応じて活用・変革していくことが重要であると言えます。

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